かんな日記 そこそこ役立つ医療ネタ

接骨院ではハンマーも使うのです!

こんにちは。

かんな接骨院代表の山崎です。

 

今回のお話しは、接骨院の先生が使用する「ちょっと変わったモノ」についてです。

 

その名もズバリ、ハンマー!

 

 

 

 

 

 

そうそう、これこれ。

やっぱり余興としては、ヘルメットも置いておかないとー・・・

「せ~の!、叩いてかぶってジャンケンポン!」

ピコン!

え~、ハイ、ウソです。

すみません。

 

本当は、

 

 

そうそう、これこれ。

これで院内の壊れた壁などをトンテンカンテン・・・

「え~と、25mmのN釘はどこに行ったかなー・・・」

「お~い、そっちは荒仕工(あらしこ)終わったんか~!」

 

ハイ、これもウソです・・・

 

本当の本当は、こっちです。

 

これが接骨院で使われているハンマー(打鍵槌:だけんつい)です。

これ、接骨院でみかけたことありませんか?

どうやって使うのかと言いますと、ハンマーの頭の部分(白いところ)で

体の各部位をコンコン叩いて、異常がないかを調べるために用いるのです。

(または反対側のとがった部分で体をこする場合もあります)

 

簡単に説明しますと、

このハンマーで叩く部分は通常、腱(けん)と呼ばれる部分です。

腱というのは筋肉の両端にある索状の組織で、この腱を叩くことにより筋肉が瞬間的に引き伸ばされます。

すると、筋肉の中にあるセンサーが「うぉー、急に伸ばされたー!ボス、どうしましょう!」と興奮し、

その刺激が末梢神経を伝わって中枢神経(多くは脊髄)へと向かいます。

刺激を受け取った中枢神経(ボスです)では

「このままではいかん!よし、お前、すぐに引っ張り返すのだー!」という指令が出され、

この指令が、末梢神経を伝わって、また同じ筋肉に戻ってきます。

で、その筋肉が「了解、ボス!」と、指令を忠実に実行に移すので、

筋肉がキュッ!っと収縮し、外観からはピクンとした動きとして感じられるのです。

 

これは正常な反応(反射)で、腱を叩くことによって誘発されるところから「腱反射」と呼ばれます。

この腱反射をみることにより、筋肉と連絡している神経系に異常がないか検査をしているのですね。

つまり、腱反射をみることによって神経学的所見の一部が得られるのです。

 

さて、一般の方にはちょっと難しい話しであったと思いますが、

腱反射の仕組みを簡単に説明させていただきました。

あとは簡単、腱をコンコン叩くだけ・・・

 

と、言いたのですが、[実はとってもむずかしい・・・]、[奥が深い]のです。

 

腱反射を常日頃から実践していらっしゃる先生方は、上記[ ]内の意味が十分に理解できるでしょう。

 

腱反射をただ引き起こすのは、正直言って簡単、素人であっても可能でしょう。

ですが、我々は、この腱反射をみることによって、異常の有無をみているのです。

この反射は、患者さんの状態によって変化します。

それが正常なのか?異常なのか?

見極めるには知識と経験が必要となります。

 

そして、検査する側の技量によっても変化します。

一定の強さで一定の部位を正確に叩く、これがむずかしいのですよ。

他の技術よりも、この技術は、ハッキリ言ってごまかしが効かないのです。

 

ですから皆さん、接骨院へ来院された際には、ぜひ、この腱反射をみている先生を観察してみてください。

その先生の腱反射の叩く動きを見れば、その先生の熟練度がわかると言っても過言ではありません。

付け焼刃の練習では、到底不可能な技術なのです。

熟練の先生の手さばきは、まさに流れる水のようにスムーズです。

まだまだこれからの先生の手さばきは・・・、なんかカクカクしてますよ。(^^)

 

思い出しますね。

私が整形外科で研修を始めた頃、先輩からいただいた言葉があります。

「腱反射は、まず、1000人みなさい。そうすれば、何かがわかるから・・・」

 

当時の私は、まだこの言葉の意味がわかりませんでした。

「腱反射?叩けばでますよね?なんでそんなにたくさん叩かないと?」

と、心の中で思ってました。

 

が、私、けっこう真面目だったので(自称ですが)、先輩に言われた事を守り、

毎日毎日、来る日も来る日も、患者さんをみさせていただく際には

必ず腱反射もみさせていただきました。

この患者さんは腱反射をみなくてもいいのでは?

みたいな症状の患者さんにも、とりあえず腱反射をみさせていただきました。

 

そして、現在に至ります。

今まで、おそらく数万人・・・、とまではいきませんが、数千人は確実ですね。

(延べ人数ならばもっとたくさんみてますね)

たくさんの患者さんに腱反射をみさせていただきました。

 

確かに、今だからこそ先輩の言葉の意味が少しだけわかります。

実施時の患者さん周囲の環境づくり、叩く部位・強さ・角度、患者さんの反応・左右差・年齢による差、などなど。

これらによって腱反射は変化します。深いのです。

また、最初の頃は「この症状の患者さんには必要ないのでは?」と思っていた症例であっても、

「実は腱反射をみる必要があったんだなー」というのもわかりました。

 

 

私も言っちゃいましょう!

新米柔道整復師の先生方、腱反射は1000人みたら何かがわかりますよー!

 

このブログを見ていただいて、一人でも多くの新米柔道整復師が腱反射に興味を持ってくれるといいですね。

 

私だって、先輩方と比べたら、まだまだヒヨッコです。

日々、精進あるのみです!

 

ではでは。